点在の火      塔野夏子


分光器の憂鬱
天象儀の退屈

を あざやかにうちやぶる角度で
挑むようにひらり舞い込む
あやうい好奇心

極光のように繊細な予感を追いかけて
けれど焦れても
いちばん深い記号は
そうたやすく投影されはしない

そしてわからなくなる
試しているのか 試されているのか

分光器の退屈
天象儀の憂鬱

を あざやかにうちやぶる輪郭で
眩むようにひらり身をかわす
きわどい好奇心

けれど少年だから
透かし見せてしまう
意識の向こうに絶え間なく震える
点在の火