天空テラス     塔野夏子


此処は天空テラス
青空の中に浮かんでいる
此処は天空テラス
時々小さな雲が通りすぎる

黒白の市松模様の床
白い丸テーブルと椅子
黒いピアノ
優雅な緑の植わった鉢がいくつか

私はテーブルでアールグレイを飲みながら
考える
夢見すぎたことの罪は何
夢見すぎたことの罰は何

それから立ちあがって
手すりのところへ行き
下界を見おろす
街々を 野を森を 川を海を

それからたわむれにピアノに指を走らせる
ほんの二 三フレーズ――
夢見すぎたことの罪は何
夢見すぎたことの罰は何

それでもまだ私は
夢を見つづけているのだ
すべての夢に愛をこめて
すべての夢に愛をこめて

此処は天空テラス
青空の中に浮かんでいる
此処は天空テラス
時々小さな雲が通りすぎる