の小径     塔野夏子


わたしたちは 底悲しく
わらいあう
そして指をつなぎあい
小径をゆく

の花がそこかしこに
ふるえるように
いている

わたしたちは 歩きながら
優しげに 言葉を交わす
でも気づいている
つないだ指のすきまから
夢が
れてゆく
歩いてゆくほどに
とめどなく洩れてゆく

気づいているけれど
気づかないふりをしながら
わたしたちは歩いてゆく
けれどそれは夢だから
洩れてゆく感触も

わたしたちは ときおり
をこぼしてしまう

小径は
どこかさびしい
のようにつづき

わたしたちは
何処へゆくのか知らず
をつなぎあい歩いてゆく
優しげに 言葉を交わしながら

そして夢は洩れてゆく
つないでもつないでも
つなぎきれないすきまから
歩いてゆくほどに
とめどなく

そこかしこに ふるえるように
の花は咲いていて

わたしたちは 底悲しく
わらいあう