水が捩れる     塔野夏子


あたしの中で
水が捩れる
還るべき水脈を何処かに探してのことなのか
それとも単に気まぐれなのかはわからないが
あたしの中で
時折ふいに
水が捩れる
たとえばそれは
安易な期待をあえて予感と名づけて歩いた街路の
無彩色化してゆく記憶のあたりで
(風は何処に居た?)

あたしという閉じた圏の中で
いたずらに透明なままめぐる水が
時折ふいに
捩れる
あるいはそれは
絶望に等しいまでに
捨て鉢に無謀な
溢出を求めてのことなのか