misanthropy        塔野夏子


光源のない白い光に満ちた中を
球や三角錐や立方体の闇が
行進する

思考線をよぎる空中魚族

(この椅子に坐るといつも
 感応しようとしすぎてneuroticになるんだ)

その視軸たちを
輻輳させてはいけない
焦点を灼きぬいてしまうから

虚空へと辷り去る実験塔

――いいえ 復讐など考えてはおりません

青白い霧を纏って
吊された散開星団が
忘却の速度で廻転する

(どのみちすべてがやがて
 粒子状の世界に還元されてゆくんだ)