岬 塔野夏子 岬の白い道を歩いてゆく 突端をめざして一歩一歩 五月の空は 高らかに晴れわたっている 風が吹く 記憶が吹く 波が聴こえる 記憶が聴こえる 岬は細く長く なかなか突端にはたどりつかない それでも一歩一歩 歩いてゆく いつか夢で見たんだ 岬の突端から見た対岸に きれいなガラスの山がそびえていたんだ ちょうどこんな岬だったよそんな気がする 五月の空は いよいよ高らかに晴れわたり 白くつづく岬の道を 一歩一歩歩いてゆく 風に吹かれて 記憶に吹かれて 波を聴きながら 記憶を聴きながら