カムパネルラの瞳    塔野夏子


カムパネルラの瞳が
どこからかしずかにみおろしているような星空

君の沈黙 君の横顔
それはなにかうつくしく けれどものがなしい
予感に満ちているようで
僕も黙ったままでいる

僕の脳裡を満たすのは むしろ追憶―― 
こんな風に見た いくつかの星空
君の言葉 君の眼差し

ああだけどそう 君はいつもそしていまも
うすあかりの青い遥かさをどこかに湛えて
それが僕を そしてきっと君みずからをも
はてしなくさびしがらせている

カムパネルラの瞳が
どこからかしずかにみおろしているような星空

その瞳と 君は深々と見つめあっているようで
うつくしく けれどものがなしい予感が
僕にもふいにこみあげる