閉塞した青空 塔野夏子
雲ひとつない青空など
此処の冬には似合わないのに
なつかしくはるかに見あげてしまうじゃないか
あまりにも澄みわたっているから
何かに 誰かに
届きそうな気がしてしまうじゃないか
黒い帽子に黒い手套 黒いブーツで
私が立っているのはありふれた地上で
私の中には私自身が
楔のように突き刺さっていて
どうにも解き放たれはしないのに
この透明な青いドームから
まばゆく白い雪が降りしきれば
どんなにか綺麗だろうと
ある筈もないことを
思い描いてしまうじゃないか
何処までだって行けそうな……
そんな気がしてしまうじゃないか