外来      塔野夏子


病院の長い待合い廊下に坐って
考えている
私の気はたしかなのかと
時々 呼び出しに応じて
いくつかの個室のどれかへと
人が 入ってゆく
そしてやがてまた出てくる
入ったまま
出てこない人もいるような気がする
白衣の自動人形たちが
目の前を行き交う
ずいぶん長いあいだ待たされながら
考えている
私の気はたしかなのかと
個室の入り口を覆うカーテンの陰で
なにか得体の知れない存在が
にやりと笑っているような気がする
呼び出しは記号のように発される
人が 入ってゆく
そしてやがてまた出てくる
入っていないのに
出てくる人もいるような気がする
待ち時間は長く
待合い廊下も長い
私の気よたしかであれ
私の名が呼ばれるまでは