DRIVE       塔野夏子


この夜に砂糖とミルク少々を入れて
掻き混ぜて飲み干すんだ
――君 何処へ行きたいか云ってくれ給え
ラズベリィの憂愁に
しなやかさの極みの鋭さを閃かせ
僕らを駆動する
僕らが駆動する
歪(ひず)んだ風を連れて
軽合金の天使たちに素敵な悲鳴を上げさせるんだ
濃緑の空ではお月さまが
またたくまに次々と自己複製して
ラインダンスをはじめてる
     この日頃どうも不機嫌だったのだ
     白っぽい中空に浮かぶ広告気球ばかりを
     乾いた窓から眺めていたのだ
     君のその不埒な目つきをふと思いだすまでは
あやしく薫り立つ液状の虹を
そこらじゅう自由自在にうねらせるんだ
――君 何処まで行きたいか云ってくれ給え
お望みとあらば
やがて来る筈の夜明けさえ
出し抜いて御覧にいれよう!