サーカス    塔野夏子


夢のように美しく 哀しい

きらめく空中ブランコ
この手に掴めたもの
掴めなかったもの

きらめく空中ブランコ
この春と夏とを彩った
ときめきを見送る

きらめく 宙を舞う肢体
夢のように美しく 哀しく
想いが逝く

きらめく 宙を舞う肢体

果敢なくもあざやかな幻燈と化す

この手に掴めたもの
掴めなかったもの

やがて 楽団の響きも絶え
からっぽのリングが 残るばかり